llms.txt v2 公開:何が変わり、何を更新すべきか
2026年8月10日、Jeremy Howard 氏が llms.txt 提案の v2 を公開しました。2024年9月にこのフォーマットが登場して以来、はじめての改訂です。2年間の普及を通じて、欠けていたもの、曖昧だったもの、そして仕様が想定していた使われ方をしていなかったものが、はっきりと洗い出されました。
まずは安心できる話から。いまお使いの llms.txt はそのまま有効です。 ファイル形式そのものは変わっていません。変わったのはファイルの まわり のすべて、とくに数千の導入者が繰り返し尋ねてきた質問への答えです。
v2 が解決する問題
v1 は、リンクを並べた llms.txt を公開し、ページのきれいな Markdown 版を page.html.md で配信するよう求めていました。しかし、この2つの端をつなぐ仕組みがありませんでした。
Howard 氏の言葉では、このファイルは「エージェントをページへ向かわせたが、Markdown 版が実際にどこにあるのかを伝えるものが仕様に何もなかった」のです。
その結果、https://example.com/docs/auth にたどり着いたエージェントは、次の2つの基本的な問いに確実に答えられませんでした。
- このページの Markdown 版はあるか、あるならどこにあるか。
- このページをカバーする
llms.txtはあるか、あるならどこにあるか。
できるのは推測だけでした。.md を付けてみる、ルートの /llms.txt を試す、うまくいくことを祈る。v2 は、この推測を明示的な宣言に置き換えます。
変更点1:link relation で Markdown を発見可能にする
これが目玉の変更です。v2 は2つの標準的な HTML link relation を推奨します。
rel="alternate" type="text/markdown"はページからその Markdown 版を指すrel="describedby"はページからそれをカバーするllms.txtを指す
<head> 内の <link> 要素として配信できます。
<link rel="alternate" type="text/markdown" href="/docs/page.html.md" />
<link rel="describedby" href="/docs/llms.txt" />
あるいは、多くのチームにとってより実用的な方法として、HTTP レスポンスヘッダー Link: としても配信できます。
Link: </docs/page.html.md>; rel="alternate"; type="text/markdown", </docs/llms.txt>; rel="describedby"
ヘッダー版が重要な理由は、テンプレートを1つも触らずに Web サーバーや CDN の設定だけで追加できるからです。HTML 以外のリソース、たとえば Markdown ファイル自体にも使えます。Cloudflare、Netlify、Vercel、nginx を使っているなら、これは移行作業ではなく設定変更です。
なお、これらは新たに考案された規約ではありません。alternate と describedby はすでに IANA に登録済みの link relation です。v2 は新しい配管を発明するのではなく、Web 既存の配管を再利用する道を選びました。
変更点2:Markdown の URL パターンが2種類とも公式に認められた
v1 が定めていた規約は1つだけでした。完全な URL に .md を付ける方式で、/docs/tutorial.html は /docs/tutorial.html.md になります。
しかし実際には、多くの公開ツールがもう1つの自然な方法、つまり拡張子の置き換え(/docs/tutorial.md)を採用していました。v2 は両方を受け入れます。
| パターン | 元の URL | Markdown 版 |
|---|---|---|
.md を付加 | /docs/tutorial.html | /docs/tutorial.html.md |
| 拡張子を置換 | /docs/tutorial.html | /docs/tutorial.md |
| 拡張子なしの URL | /docs/tutorial/ | /docs/tutorial/index.html.md または /docs/tutorial/index.md |
仕様自身の注記はこうです。実践は「祝福する価値のある形で v1 から逸脱した」。標準の運び方として健全な姿勢です。どちらのパターンも優先されないので、自分のスタックが自然に生成する方を使い、rel="alternate" で宣言しましょう。
変更点3:サブパスのカバー範囲が明確に定義された
llms.txt は 自身のパス配下 の URL をカバーし、複数のファイルが該当する場合、エージェントは最も限定的なものを使うべきとされます。つまり /docs/llms.txt は /docs/ 配下すべてをカバーし、それらのページについてはルートの /llms.txt より優先されます。
これは単なる明確化以上の意味を持ちます。llms.txt が /.well-known/(RFC 8615)ではなくパス上に置かれる理由そのものだからです。well-known URI はオリジンのルートにしか存在できませんが、サブディレクトリしか管理できない作者は大勢います。GitHub Pages のプロジェクトサイト、共用ホスト上のドキュメントフォルダ、企業ドメイン内のチーム用セクションなどです。v2 では、あるパスにファイルを公開できる人なら、そのパスの llms.txt も公開できます。
1つのドメインでドキュメント、ブログ、マーケティングサイトを運用しているなら、それぞれにスコープを絞ったファイルを用意し、どれが優先されるかも確信を持って把握できます。
変更点4:llms_txt2ctx と「Optional」の機械的な意味が削除
v1 には llms_txt2ctx というコマンドラインツールが同梱されており、llms.txt を1つの大きなコンテキスト塊に展開していました。その際 ## Optional セクションには機械的な意味(コンテキストが厳しいときはスキップする)が与えられていました。
v2 は両方を仕様から削除します。コンテキスト展開が悪いからではなく、エージェントが実際にはそう振る舞わないからです。実際のエージェントは llms.txt を閲覧または検索し、必要なリンクだけをたどります。 ファイルはコンテキストに収まる程度に小さく保たれ、詳細はリンクの先にあり、必要になったときに取得されます。
## Optional は残りますが、いまや純粋な慣例です。短いコンテキストが欲しいときにエージェントが飛ばしてよい二次的なリンク、それだけの意味であり、ツール上の意味づけはありません。
変更点5:前提の説明が現実に追いついた
2024年の背景セクションは予測でした。エージェントが日常的に Web サイトを読むようになる、という予測です。v2 はそれを事実の記述として書き直しました。いまやそれは特別なことではないからです。
仕様は根拠も挙げています。数千のサイトがこのファイルを公開し、ドキュメントプラットフォームが自動生成し、Chrome の Lighthouse がエージェント的ブラウジングのチェック項目として監査し、AI ラボ自身も公開しています。OpenAI、Anthropic、Google の Gemini チームは、いずれも開発者向けドキュメントで llms.txt を配信しています。
フォーマットの要件(変更なし)
ここは間違えられやすく、v2 でも一切変わっていないので、あらためて整理します。
- 任意のバイトオーダーマーク(BOM)
- プロジェクト名またはサイト名の H1。 唯一の必須要素です
- ファイルの残りを理解するために必要な要点を含む、短い要約の blockquote
- 0個以上の Markdown セクション(段落、リストなど、見出し以外なら何でも)による詳細情報
- 0個以上の H2 で区切られたセクションによる「ファイルリスト」
各ファイルリストは Markdown のリストで、各項目には必須のリンクがあり、任意で : に続けて注記を書けます。
# タイトル
> 任意の説明をここに
任意の詳細をここに
## セクション名
- [リンクタイトル](https://link_url): 任意のリンク説明
## Optional
- [リンクタイトル](https://link_url)
v2 対応チェックリスト
- いまのファイルはそのまま使う。 仕様に準拠したままです。書き直す必要はありません。
- 重要なページの Markdown 版を配信する。 どちらの URL パターンでも構いません。
- 2つの link relation を追加する。 できれば CDN またはサーバー層の HTTP
Link:ヘッダーとして。テンプレート修正が丸ごと不要になります。 - 1つのドメインに複数の独立した領域があるなら、パスごとにファイルを分ける。
- リンク先は HTML ではなく Markdown にする。
llms.txt内のリンクは LLM が扱いやすいコンテンツに向けるべきです。v1 からのルールですが、最も多い間違いです。 - 公開前に検証する。 実際にパースできるファイルを出すために。
v2 が変えなかったこと
llms.txt は依然として提案であり、批准された Web 標準ではありません。そして依然として Google のランキング要因ではありません。Google はこのファイルを使っていないと明言しています。v2 は、実際に 読んでいるエージェント(その集合は現実に存在し、拡大しています)にとってフォーマットをより有用にするものであって、ファイルを SEO の梃子に変えるものではありません。
v2 を「ランキング向上の施策」として売り込まれたら、まず llms.txt は Google のランキング要因か? をお読みください。
まとめ
v2 は、v1 の唯一の構造的な穴を塞ぐ、小さく理にかなった改訂です。エージェントはあなたのファイルを読めても、それを見つけられず、指し示された Markdown も見つけられませんでした。2つの link relation がその穴を塞ぎ、そのうち1つは CDN 設定の1行で済みます。
更新の準備はできましたか。llms.txt ジェネレーターで仕様準拠のファイルを生成し、llms.txt バリデーターで形式を確認してください。まだ自分のサイトに必要か迷っているなら、llms.txt が有効なケースから読んでみてください。